ワキガ手術

ワキガとは、腋臭症といって、汗の腺の一種、アポクリン腺が多く存在し、そこから発生する臭い(腺そのものの臭いと細菌感染の混合で起こるとも言われています)が気になる症状です。欧米では当たり前なので何も治療対象にはなりませんが、日本などでは8%程度の人しか臭いがしないため、臭いの少ない民族である日本人にとっては非常に気になる症状となります。通常の汗の臭い(エクリン腺の臭い)とは異なるものであり、ワキガの手術の基本はアポクリン腺を取るものです。私自身はエクリン腺のみのために手術はしません。汗の臭いは場合により全く変わらないこともありますので、あくまでアポクリン腺の臭いを改善するものとお考え下さい。

ここでは剪除法についてお話をします。

さて、ワキガの手術は保険診療上は腋臭症手術という項目に当てはまり、保険診療できることが定められています。特殊な機器・方法を用いたりすると、材料費・手間が余計にかかるため自費診療を求めることも多いので、全てが該当するわけではありません。保険適応できない手術方法もあります。稲葉法やクアドラカット法(アクティブサクション法)、超音波剪除などは保険適応できないでしょう。保険の手術の場合は皮下組織剪除法という方法を用いています。非常に確実で、形成外科医の間では主流の手術方法です。保険上は皮弁法という分類になります。剪除法が保険適応外ということは言えません。大学病院で剪除法を行っても保険を用います。ではなぜ保険が使えないのでしょうか。これはその手間や時間を考えると、保険外では収益が出ないからです。クリニックとして経営するためには保険適応では無理です。大学病院などはここまで考えなくて済みますから保険適応で手術できます(もちろん医師の腕はまちまちですし、場合により美容外科を斡旋することもあるようです)。わきが専門であればひょっとして何とか保険のみで大丈夫かもしれませんが、私のクリニックでもレーザー治療など高額機器を多数導入しており、こっちの方を稼働しないと経費が払えません。ワキガに長時間を割いてしまうことができないのです。多くのクリニックはこのことが前提で、保険外としています。
私のクリニックもずっと保険治療を実施してきましたが、保険治療の気軽さからでしょうか、診察予約をされても、連絡なく来院されない方が多く、それだけではなく、手術予約を無断キャンセルしたり、前日に急にキャンセルのお電話を頂いたりなど、経営的にどうしても続けることが難しくなり、現在は中止しています。
このように患者様と医師の信頼関係で成り立っている部分があるので、クリニック側は非常に困ってしまうのが現状です。

さて、本題の手術方法です。
手術は、はさみを用いて皮膚の裏側に付着したアポクリン腺という臭いのもとを取り去ります。皮膚の切開範囲は約3〜4cmです。皮膚を切り取ったりすることはありません。この方法を用いたからといって傷が他の方法と著しく違うわけではありません。皮膚のしわに沿って切開します。実際には治療後2〜3ヶ月ほどは皮膚が引っ張られたようになり、跡は目立ちますが、次第に治ってきます。通院は基本的に治療日とその翌日、3日後、1週間後、2週間後です。局所麻酔で行い、その日に帰ることができますが、手術後3日間は手を動かすことにかなり制限を設けます(肩固定をします)ので、3日間お仕事を休めるときに実施した方が無難でしょう。また、1週間は肩関節は動かせず、生活上は不自由かと思います(体を使う仕事の場合は1週間お休みが必要です)。両ワキ同時でも可能ですが、日常生活に支障が出るでしょう(どんな仕事であれ1週間は休んで頂きます)。通常日常生活の制限と患部の安静を保つために片ワキずつ2〜3週間以上、できれば1〜2ヶ月あけて実施することが望ましいと考えます。簡単に考えすぎて、手術後に無理をするとトラブルが起こります。絶対に予定のある日程で手術をお受け下さい。この間隔や処置の考え方はクリニックそれぞれですので、あくまでご参考までに。

傷跡は絶対に残ります。切れば必ず傷はできますし、跡の程度も個人差があります。これは盲腸の手術跡が個人によって大きな差があるのと同じです。

なお、多汗症とワキガは必ずしも同じではありません。この点を十分理解し、不必要な手術をお受けになることは避けて下さい。安易な診察・手術は反対です。

なお、臭いが完璧に取れますかということについては、治療後半年ほどは全く臭いがしませんが、皮膚につながって残存するアポクリン腺の出口部分(手術では皮膚を切り取らない限り絶対に取り切れません)が必ずありますので、腺への神経の回復とともにごく弱い臭いがすることがあります(当然全員に起こるわけではありません)。これは再発ではありません。世界中のどんな手術法を用いてもこれは同じです。手術したら全く臭わないと保証する所はあまり信用できません。多くの再発と言っている方がこれを事前に聞いていないためにそう感じるようです。もちろんきちんとアポクリン腺を取らない手術でも神経が一時的に切れるので、半年ほど臭いがなくなりますが、その後全く元通りに臭うことがあります。これとは全く違います。必ず改善します。あくまで治るのではなく、改善するものです。

手術ができない人の条件は、

・ワキガの臭いがしない人

・局所麻酔にアレルギーのある人

・安静が保てない人

・神経質な人、精神科のお薬を飲んでいる人

・その他、病気があって医師から手術できないと判断されている人

以上が主なものです。


実際の手術模式図


なお、費用は保険で行う場合は、両脇で5万円以下です。特殊な機械を使う保険外の方法の場合は20〜40万程度でしょう。

ホームへ